カープの開幕ダッシュと勝利貢献度

以前の記事でデモ版を紹介した勝利貢献度指数を使って、開幕から4月4日までのカープについてみていきたい。

まず、打者については、菊池選手の好調が目立つ。得点にも勝利にも大きく貢献していることが分かる。また、坂倉選手も、4月3日横浜戦での満塁弾をはじめ、勝利に大きく貢献するバッティングが光る。いわゆる「小松式ドネーション」についても、これと同じ算出結果となる。

次いで、投手について、勝利貢献度をみると早々に2勝目をあげた九里投手が最上位にくる。また、エースの大瀬良投手やクローザーとして危なげない栗林投手も上位に食い込んでいる。

ここで、投手については、以前の記事で紹介した勝利貢献度指数だと、典型的には0対1で完投負けした試合において負け投手の勝利貢献度がゼロとして計上されるのは、いくらなんでもそうした試合での投手の貢献度を低く見積もり過ぎだろう、と思い、もう一つの代替的な指標を考案してみた。実際に各投手が登板したイニング数について、実際の失点数と、もし平均的な投手が登板していた場合における失点数を比較することにより、その投手が平均的な投手と比べ、勝利可能性をどれだけ高めたか(ないし遠ざけたか)指数化してみた。この新指標によると、阪神・西投手との投手戦に投げ勝った森下投手が最上位にくる。この投手に二年目のジンクスは無縁だよね、という思いを新たにしたくなる。

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3月26日~4月4日のカープの勝利貢献度指数

なお、3月28日の中日戦で、16残塁で無得点に終わり、試合に引き分けてしまった。
16残塁というのは、ほとんど球団記録に迫る残塁数であり、特にマツダスタジアムで観戦していたファンにとっては隔靴掻痒感でいっぱいの試合だったに違いない。

ただ、残塁の多い試合を「拙攻」と表現するのは多少どうかと思うことがある。チャンスを作れない打線よりかは作れる打線の方が期待を持てる。チャンスのときに適時打が生まれるかどうかは、結局のところ運の要素があるため、残塁が多く得点できないのは、多分にツキがなかったということではないか。

MLBについてはBaseball-referenceに残塁に関する統計も掲載されている。この統計をみると、当然といえば当然のことなのだが、シーズンを通じたチームの総残塁数は、打者側からみると出塁率の高さと相関係数が0.715であり、打率(同0.525)、長打率(同0.270)、得点数(0.395)などと比べ、関係性が強い。

投手側からみると許した出塁数(WHIP)の高さとの相関係数が0.748と、失点率(同0.478)などと比べ、高い相関が認められる。

このように、残塁の多さは出塁の多さと関係が強く、一方、一見、長打が多いチームは、走者を一掃する一打を期待できるので、残塁数を減らせそうな気もするのだが、残塁数と長打力に関する指標との相関は低いようだ。

つまり、ポジティブに受け止めると、残塁の多さはチャンスを多く作り出せるほどに出塁能力が高いことを意味している。

幸いなことに今シーズンは、これまでのところ、投手陣が安定し、打線も健闘している。一喜一憂することなく、応援していきたい。