カープの開幕ダッシュと勝利貢献度

以前の記事でデモ版を紹介した勝利貢献度指数を使って、開幕から4月4日までのカープについてみていきたい。 まず、打者については、菊池選手の好調が目立つ。得点にも勝利にも大きく貢献していることが分かる。また、坂倉選手も、4月3日横浜戦での満塁弾をは…

投手のピークが21歳というのは本当か?③

このシリーズでは、セイバーメトリクスの「投手のピークは21歳」という説への衝撃から、まず第1回で打者の年齢曲線について、第2回で投手の年齢曲線について分析した。それでは、このセイバーメトリクスの説について、どのように考えるべきなのだろうか。 「…

投手のピークが21歳というのは本当か?②

前回記事では、打者の年齢曲線についてみた。今回は、投手の年齢曲線について分析したい。 勝利貢献度を年齢別に足し上げていくと先発投手は20代前半・救援投手は20代後半にピーク 前回の打者編と同様に、まずは、以前の記事で紹介した手法に沿って投手の勝…

投手のピークが21歳というのは本当か?①

セイバーメトリクスの入門書(蛭川晧平著・岡田友輔監修「セイバーメトリクス入門」)を一読して最もショッキングだったのは、「投手に関しては21歳がピークでその後は年齢を経てるごとに防御率が悪化していく結果となりました」という記述である。「投手の…

イニング別得点数と継投との関係について考えてみた件

MLBにおけるイニング別得点数については、以前の記事でも紹介したとおり、次図のとおりであり(図は2016~2020年の平均値)、最初の山が初回であり、その次に中盤に大きな山がやってくるイメージとなっている。 MLBにおけるイニング別得点数(2016~2020年)…

9回までで試合を打ち切ると、1割前後の試合が引き分けになる?!

今日もごく手短の記事となるが、2021年のプロ野球は、新型コロナウイルス感染拡大に伴うイベント開催時間への配慮から、延長戦を行わず9回までで引き分けとすることになった。 9回までで試合終了とする場合、1割前後の試合が引き分けに・・?! こうした運用の…

カープのオープン戦における勝利貢献度を集計してみた件

本日の記事はごく手短に、カープのオープン戦における勝利貢献度を集計してみた。なお、ここでいう勝利貢献度の算出方法(野手・投手)については、以前の記事のとおりである。 オープン戦を通じた打者のMVPは田中選手 打者に関しては、総じて低打率に終わっ…

カープ各選手の勝利貢献度を分析してみた②(投手編)

前回の記事では、打者の勝利貢献度について分析した。今回は、投手についてみていこう。 投手については、打者に関する分析よりかは、もうちょっとシンプルに計算できる。投手が登板したときの勝利可能性と、降板したときの勝利可能性との差し引きにより、そ…

カープ各選手の勝利貢献度を分析してみた①(打者編)

前回の記事では、各イニング終了時の得点差別の勝率表について紹介した。この勝率表はなかなか便利で、各選手の勝利貢献度の分析に応用することができる。 勝利貢献度を測定してみようと考えるに至った理由は、セイバーメトリクスの指標の多くが選手の「能力…

各イニング終了時の得点差別の勝率表を作ってみた件

ブログ更新の間があいてしまったのは、標題のデータ整理に膨大な作業量を要してしまったからである。この辺が個人商店で分析作業を行うときの外目に分かりづらい苦労である。 さて、NPBの直近5シーズン(2016~20年)の全試合のボックススコアを基に、1回表…

日本野球は左打者に期待するイメージがメジャーと違う?

日本プロ野球(NPB)において打者の約半数弱は左打者であり、日本人の左利きの比率(11%程度)と比べ、明らかに高い。日本プロ野球機構が公表している選手一覧をみても、左投手には左投左打の選手が多いのに対し、左打者は右投左打の選手の比率が非常に高い…

廃れた作戦は技術力が低下する――送りバント成功率の推移②

前回の記事では、状況次第で得点確率を高め得るほどにバント成功率の高い「バント職人」野手が残っているNPBと異なり、MLBでは、送りバントの企画頻度が低下するにつれ、バント成功率も低下し、送りバントがますます「見合わない」作戦になっていることを説…

廃れた作戦は技術力が低下する――送りバント成功率の推移①

無死一塁からの送りバントはむしろ得点期待値を低下させるという理由で、MLBにおいて送りバントが死滅化しつつあることは、既にこのブログで何度も触れてきた。では、このように送りバントが絶滅危惧種となりつつある中、成功率はどのように推移してきたのだ…

野球観戦のTIPSとして・・好不調の統計分析(第二幕:チームの連勝連敗)

前回記事では、打者の打撃成績の好不調の波についてみた。本日は少し目線を変えて、チームの連勝連敗のデータについてみてみよう。 6連勝・6連敗以上は年に一度あるかどうかの大型連勝・連敗 まず、単刀直入に1950年以降のNPB各球団の連勝・連敗の記録を集計…

野球観戦のTIPSとして・・好不調の統計分析(第一幕:打者の好不調)

今日のロッテとの練習試合での惨敗に気を弱くしたつもりはなく、シーズン前からネガティブに聞こえるかもしれないが、打者の好調不調やチームの連勝連敗の波が気になることがある。今回は、実際の成績データと、想定される打率・勝率に応じ、ランダムに打撃…

せめてネット上で日南観光を味わってみた件

筆者は、例年この時期には日南キャンプを見学しに行っている。特にサインをねだるでもなく、ひねもす野手を中心として期待の若手の練習ぶりを観ては、勝手に期待を膨らませている。去年のキャンプには駐米スカウトに就任したエルドレッド氏が来訪され、駆け…

クロン選手が「当たり」の場合、カープの4番は誰でいくべきか(Excelを使って打順論を分析してみた件)【付録】

今回の記事は無味乾燥で申し訳ないが、今回の一連のシリーズ記事(第1回・第2回・第3回)で使ったExcelシート(打順の組み方と得点期待値との関係試算)の考え方・前提について整理する。 基本的な計算方法は、まずはイニングの先頭打者のパターン毎(=先頭…

クロン選手が「当たり」の場合、カープの4番は誰でいくべきか(Excelを使って打順論を分析してみた件)③

前回までの記事では、仮想のケースに基づき、高打率打者、長距離打者の打順と得点期待値との関係について試算した。今回は、もう少し現実のケースに引き付けて、クロン選手が「当たり」だった場合、クロン選手と鈴木選手のどちらが4番であるべきか、占ってみ…

クロン選手が「当たり」の場合、カープの4番は誰でいくべきか(Excelを使って打順論を分析してみた件)②

前回記事では、全員の打撃成績が均質な仮想チームに長距離打者、高打率打者を1人ずつ加えた場合について試算すると、長打力の高い打者は中軸に、打率の高い打者は上位に据えるのがベスト、との結果となることを説明した。本日はもう少し前提を複雑化させ、仮…

クロン選手が「当たり」の場合、カープの4番は誰でいくべきか(Excelを使って打順論を分析してみた件)①

プロ野球がキャンプインした。球春到来である。 各球団ともコロナ禍で新規獲得した外国人選手の入国が遅れている中、カープが獲得したクロン選手は、年初には日本入りを果たすというファインプレーを成し遂げ、キャンプインから姿をみせてくれている。それば…

火消し屋と「防御率詐欺」の正体に迫る②

前回記事では、優れた投手ほどいわゆる「防御率詐欺」に陥りやすく、実際、救援投手の過半は「防御率詐欺」に該当することを説明した。また、救援投手の「引継走者生還率」は、ごく相対的な傾向として奪三振率が高く、WHIPが低いほど低くなり易いものの、こ…

火消し屋と「防御率詐欺」の正体に迫る①

江戸時代において、火消し(消防士)は歌舞伎役者などと並び最もかっこよい男たちとされていた。投手の分業制が確立した現代野球においても、ピンチになってからの継投では、火消しが期待される。ピンチになってから「どうにかしてくれ」とマウンドに送られ…

ゴロPとフライボール革命について考える

ごく個人的に、長らく不思議に思えてきたことの一つとして、「近年、MLBではゴロよりもフライ打球の方が総じて得点確率が高いとする『フライボール革命』が唱えられていること」と「近年、MLBではグラウンド・ゴロ・ピッチャーは、被本塁打数が少なく、投球…

インディアンスのチーム名変更に想う

クリーブランド・インディアンスのチーム名変更 本日は、データ分析作業の合間に綴る随想である。 クリーブランド・インディアンスの名称変更のニュースには驚いた。驚いているようでは、ポリティカル・コレクトネスへの感性が不十分だったことの証左なのか…

カープの投げやりな投手応援歌が実は奥深かった件(データでみる堂林選手覚醒の巻)

前回までの記事で、「スイング率」「コンタクト率」に着目し、打者のタイプ別分類や、タイプ毎の打撃成績面の特徴について述べた。それでは、カープの主要打者は、それぞれどのようなタイプに属するのだろうか。早速、2020年シーズンに100打席以上の各打者の…

カープの投げやりな投手応援歌が実は奥深かった件(スイングに関する打者のタイプ別「特徴」の巻)

前回の記事で解説したとおり、打者がどの程度の割合でスイングするか(スイング率)、そして、スイングした球数のうちバットに当てた割合(コンタクト率)は各打者の「タイプ」を表す指標であり、これらの指標値は、それぞれある程度広めのゾーンの中で分布…

カープの投げやりな投手応援歌が実は奥深かった件(スイングに関する打者のタイプ別分類の巻)

前々から気になっていることなのだが、カープの投手が打席に立ったときの応援歌は、歌詞がなんとも投げやりに聞こえる。 振らな何も始まらないから 強気で一か八か フルスイング♪ そりゃそうなんだけどさ――と呟きたくなる。確かに投手の打率は平均1割程度な…

「麒麟がくる」に思う「移動」(中国大返し?)の負担

いつもの本題から逸れるが、NHK大河ドラマ「麒麟がくる」がいよいよ佳境に差し掛かっている。このドラマは駆け出しから濃姫役の差し替えがあり、撮影・放送日程が新型コロナに邪魔をされ・・、と苦難続きだった印象もあるが、非常に面白い。特に織田信長の描…

聖地・マツダスタジアムの個性を考える④

前回の記事では、本塁打のパーク・ファクター(球場要因による投打の有利・不利を測定する指標)についてみた。今回は、安打数・得点数についてみるとともに、パーク・ファクターという指標の限界について考察する。 安打数については、あまり明確な傾向はみ…

聖地・マツダスタジアムの個性を考える③

前回までの記事では、MLB・NPBの各本拠地球場の広さやフェンス高、所在地などの「個性」について整理した。今回からは、こうした球場の「個性」が打撃成績に及ぼす影響について整理したい。 ほぼ毎年、本塁打の出易い球場というのは確かに存在する まず、今…