2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

投壊(涙)の日に「何点取れば勝てるんだっ(怒)」に対する一つの答え

今年のカープの投手陣は、救援投手を中心として調子がいまいちな選手が多く、そんなときは、つい「一体、何点取れば勝てるんだ」とやり場のない怒りをぶつけたくなってしまう。 これに対する一つの答えとして、平成以降(1989年~2019年)のNPB全試合の「得…

「ランス選手9人のチーム」vs「正田選手9人のチーム」勝つのはどっち?

1987年の珍記録 1987年のセ・リーグの打撃成績には、球史に残る珍事が発生している。首位打者はカープの正田耕三選手(.333)なのだが、本塁打数がゼロ。本塁打王は同じくカープのランス選手(39本)なのだが、こちらは打率(.218)が規定打席到達者のうち最…

野球用語・考

変えて欲しい野球用語「人的補償」 日本球界の中でどうしても変えて欲しい用語がある。それは、フリーエージェント(FA)制における「人的補償」である。その選手があたかも償いのための供出物のような語感があり、いかにもネガティブな印象を与えてしまう。…

あえて安仁屋算をデータ分析的に語ってみた件(その⑤:まとめ)

これまで、その①、②、③、④と、かなり冗長に「安仁屋算」について語ってきた。要旨を整理すると次のとおりである。 ・安仁屋算では、各投手について、前年ないし前々年の実績のうち良い方をベースに若干上乗せされた勝利数が設定されていることが多い。ただ、…

あえて安仁屋算をデータ分析的に語ってみた件(その④)

前回の記事では、ピタゴラス勝率に着目し、2016年カープの成績をベースに分析する限り、チーム全体として「安仁屋算」の勝利数(勝率)をあげるためには、投打がリーグ随一であるだけでは足らず、少なくとも得点力・失点防御力のいずれかが球史に残るような…

あえて安仁屋算をデータ分析的に語ってみた件(その③)

前回の記事では、勝利数は投手本人の能力だけではなく、打線の援護や巡り合わせの要素が大きいことを説明した。そのため、チーム全体として安仁屋算にいう勝利数をあげられる確率については、投手の能力だけに着目するのではなく、チームの得点力・失点防御…

あえて安仁屋算をデータ分析的に語ってみた件(その②)

前回の記事では、「安仁屋算」を各投手別にみると、OBが選手に期待する「高い目標」としてはあながちあり得なくないが、それらを足し上げたチームの勝利数としては高めの目標としてもあり得ない、と述べた。それでは、何故、個々の投手の「高い目標」の合計…

あえて安仁屋算をデータ分析的に語ってみた件(その①)

往年のカープの大投手にして、米軍占領下の沖縄で初のプロ野球選手でもある安仁屋宗八さんが、例年、RCC(地元放送局)などで発表するカープの勝利数予想や、その計算方法は、鯉党などの間で「安仁屋算」として知られている。「十分な登板機会が与えられて絶…

クライマックスシリーズ・ファイナルステージの勝率

カープファンにとって、2017年シーズンはぶっちぎりで優勝しつつ、終盤にかけ鈴木選手や安部選手の故障に見舞われたこともあり、クライマックスシリーズ・ファイナルステージで苦杯をなめてしまった悪い記憶が今でも残っている。 クライマックスシリーズ・フ…

野球ファンとして一部の「高校野球ファン」に対して思うこと

甲子園での高校野球交流試合が始まった。こういう大変な時期であるが、何であれ甲子園での試合が催行できたことは非常に良かったと思う。高校野球が日本の野球文化の発展にどれほど寄与したか、本当に計り知れない。様々な意見があるだろうが、春夏の甲子園…

NPBにおけるオープナー導入に関する自家版論点整理(後編)

前回の記事では、オープナー導入によるメリットについて整理した。今回は、NPBでの導入を考えると、いくつか留意すべきと思われる点について検討してみた。 1.そもそもNPBにおいては、初回の失点率が最も高いのか MLBにおいても初回の失点率が他イニングに…

NPBにおけるオープナー導入に関する自家版論点整理(前編)

MLBでの「オープナー」導入については、このブログでも以前に少し触れたとおりであるが、今回から2回に分けて、NPBでの導入可能性について多少の論点整理をしてみたい。 かつて平成11年度予算編成にあたって宮澤喜一蔵相(当時)が年度初からの積極的な財政…

「投手王国」をセイバーメトリクス指標で振り返ってみた件

本日は、カープが「投手王国」といわれていた時代について、セイバーメトリクス指標であるFIP(Fielding Independent Pitching)を使って振り返ってみることにしたい。 そもそもFIPとは そもそもFIPとは、野手の守備力の良し悪しや、インプレー打球が凡打に…

「赤星式盗塁」にみる野球の進化の話

野球の歴史の話の続きとして、1950年代以降のNPB全体としての盗塁数・盗塁死数について、ネット上でいうところの「赤星式盗塁」の推移を整理してみた。 赤星式盗塁とは 「赤星式盗塁」とは、元阪神で野球解説者の赤星氏による「盗塁は、成功数だけでなく失敗…

続・野球の歴史の話:投手の分業制確立の背景

前回の記事では、長い野球の歴史の中で1990年代初にかけて投手の分業制が確立していった姿を説明した。それではなぜ投手陣について分業化を進めていく必要が生じたのだろうか。 奪三振数が目にみえて増加 1950年以降の投手陣に関する最大の変化点は、奪三振…

野球の歴史の話:投手の分業制の確立

長期時系列的な視点から野球の発展の歴史についてみていきたい。まずは何といっても投手の分業制の確立である。 完投は減少し、中継ぎ投手の登板が増加 沢村賞などでいうところの「先発完投型」は今や昔、投手の分業制の確立に伴い、先発投手による完投はめ…

やや脱線:恩田陸「蜜蜂と遠雷」の読書感想とドラフト制度(ネタバレ&ちょっと強引ですが)

唐突になんであるが、恩田陸さんの長編小説「蜜蜂と遠雷」を読んだ。ピアノのコンクールで若い才能たちが競い合い、共鳴しあう中で成長していく様子が描かれている。クラシック音楽のことはよく分からないが、予選・本選の選別の過程を読み進めると、プロ野…

リプレー検証にみる将来の審判制度のあり方・考

MLBでは2014年から導入されているリプレー検証制度が2018年シーズンからNPBでも導入された。報知新聞の記事によると、NPBにおいて、判定の変更回数は2018年シーズンで162回、2019年シーズンで176回となっている。これをどのように評価すべきなのだろうか。 …

「小松式ドネーション」への自問自答②

前回の記事で投手の勝利への貢献度を示す指標である「小松式ドネーション(KD)」について自問自答を始めたが、この自問自答はまだ終わっていない。前回までの結論は、KDにおいては「同様の1イニングの投球について、中継ぎ・抑え投手は、先発投手の2倍ない…